軍の英雄に敬意を表すカナダ代表のヘラジカ・マスコット

キャプテン・グリーンはカナダ代表にとって単なるぬいぐるみのマスコットではない。ラグビーを愛するある退役軍人がいかに生き残ったのかを感動的に思い出させてくれるものなのだ。

【福岡・9月25日】ラグビー・カナダ代表で最も旅したメンバーのひとりは人ではなくてヘラジカだ。

 キャプテン・グリーンと呼ばれるそのぬいぐるみのマスコットは2011年以来、常にチームと共にあり、カナダにとって2019年ラグビー・ワールドカップ(W杯)1次リーグB組の初戦となる26日のイタリア戦でもベンチにいるだろう。

「彼はいつもわれわれと一緒にいるんだ」と右プロップのコール・キースは語る。「毎回、食事や練習やジムに連れて行くんだ。毎回チームとして行う唯一のことが、彼をそこに連れて行くことなんだ」 

 そのヘラジカは、作家であり、アマチュアチームであるバンクーバー・ローイング・クラブでかつてラグビーをしていたキャプテン・トレバー・グリーンに敬意を表して名付けられた。グリーンはカナダ軍で非戦闘の軍民協力将校をしていた。2006年3月、村の長老たちと一緒に座っていて、敬意を表すためヘルメットを外している時に16歳の少年に後頭部を斧で打たれた。

 グリーンは数カ月間、昏睡状態に陥り、医師は彼が生き延びることができるか疑った。しかし彼はこうした見方に抗い、日常の動きを学び直すためリハビリに励み、ついには2010年の自分の結婚式で手助けなしに立って誓いを述べることができるようになった。

 2011年のラグビーW杯を前にした彼のカナダーチームへの感動的なスピーチは、選手たちを奮い立たせ、彼らが2007年以来持ち運んでいた カナダ王立騎馬警官の制服を着たぬいぐるみのヘラジカのマスコットに、彼の名にちなんで命名することになった。

 「死にかけていた人間がすべてを克服したこと、その忍耐力はとても素晴らしいことだ」とキースは語る。「われわれは、彼の名前にちなんでヘラジカに命名したいと彼に伝え、2011年にそうなった。彼は感動して今でもこのアイディアを気に入ってくれている」

 以来、ヘラジカのマスコットはいつもチームと一緒にいる。伝統的にチームで一番若いメンバーが責任を持って、すべての練習、試合、1週間前に長門市で行われたチームの歓迎式のような公式行事に連れて行く。

 「彼は南米、ヨーロッパを旅してフィジー、ニュージーランドも訪れた。彼はどこへでも行く。彼は恐らく人々が想像しうる以上の国々を訪れた」とキースは語る。キースは3年前に結成された現チームで最も若い選手で、キャプテン・グリーンの主な連れとなっている。

 試合の間、キャプテン・グリーンはベンチや冷水器のそばのテーブルに座る。キースによれば、このマスコットが8年間で少なくとも100のテストマッチに同行している。

 今も熱烈なラグビーファンとして、本当のキャプテン・トレバー・グリーンは全ての試合をフォローし、定期的にビデオ・メッセージをチームに送っている。2017年には選手に再び会いに来て、その際、キースも彼に会った。

 「彼が語ることのいくつかはチームのためだけのものだ」とキースは言う。「でもそれは、自分の気持ちを率直に話すこと、もし本当に何かをしたいなら決してあきらめずに全力を傾けることの重要性について多くを語ってくれる」

 祖父や叔父が陸軍にいたこともあり、キースにとっては、チームが活動する際いつもキャプテン・グリーンを連れて行くとうユニークな役割をこなすことはさらなる誇りとなっている。

 「そうすることは大変名誉なことだ」とキースは言う。「彼はわれわれにとってのヒーローだ。われわれが今こうしてラグビーができるのも、彼が命を懸けてくれたおかげだ。もし彼や、われわれのために戦争に赴いたあらゆるほかの退役軍人がいなければ、われわれは恐らく今ここにいなかっただろう」

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