ミスターラグビーの勇姿を胸に

南ア戦が行われる20日は平尾誠二氏の3度目の命日

【東京・10月17日】日本の選手やコーチ陣にとって、20日に行われる南アフリカとの準々決勝は特別な試合になる。ワールドカップ(W杯)初の決勝トーナメントに臨むその日は、日本のラグビー界を牽引した「ミスターラグビー」平尾誠二氏の3度目の命日に当たるからだ。

日本の主将やヘッドコーチを務めた平尾氏は3年前、がんのために53歳で亡くなった。ミスターラグビーの愛称で親しまれた平尾氏は、日本代表として35キャップを獲得。1987年、1991年(主将)、1995年とW杯に3度出場し、1999年大会ではヘッドコーチを務めた。

所属する神戸製鋼で目をかけてもらったFB山中亮平は「平尾さんの命日ということで僕にとってもすごい日に試合がある。大事な試合」と語る。「ここまで来られているのは、よく頑張ったなと言ってくれると思う。思い切って楽しんでやるだけだと言ってくれると思うので、僕自身出場メンバーに入れれば全力でぶつかって楽しんでやりたい」と力が入る。

長谷川慎スクラムコーチもキャリアで大きな影響を受けた1人。「平尾さんの話になるとちょっと感傷的になってしまうけど、私を日本代表に選んでくれたのも平尾さん。試合に出してくれたのも平尾さん。そういう特別な人の命日に特別な試合がある。しっかり恩返しできるようにしたい」と話す。

「一番の思い出は、1999年W杯開幕戦の前日。部屋に帰ってきたら手紙が置いてあって、そんなに長い文章じゃないけど、励みになるようなことが書いてあった。それを見てしっかり頑張らないと、この人のために頑張らないとと。あと、日本のラグビーのために頑張らないとと思えるような内容だった」という。「試合に向けていいモチベーションで臨めたのを一番覚えている。何で代表に選ばれたのかを聞いたら、スクラムに決まってるやろと言われたので、まずはそこをしっかりしないといけないと。しっかり僕のことを見てくれていた本当にいい指導者だった」 

開催国として迎えた今大会。日本のファンの声援も選手へのこれ以上ない後押しとなっている。

熱気のほとばしるスタジアムで1次リーグ4試合を戦い、いずれも勝利を収めた日本。史上初の8強入りを決め、世界でも今大会一の反響を呼んでいる。ラグビーを長年見続けてきた海外の目の肥えたファンでさえ、この国で目の当たりにした歓声と興奮は、どのスポーツでもこれまで経験がないと口にするほどだ。

中でもアイルランドを破った2戦目、そして8強入りを決めたスコットランド戦は特大の興奮を呼んだ。スコットランド戦の後半に途中出場したロックのヘルウヴェは、その光景がまだ脳裏に焼き付いている。

「国民のみなさんが応援してくれて、勝利に対して大きな支援になっている。エネルギーをチームに与えてくれている」と感謝を口にする。

南アフリカを破り世界中を驚かせた「ブライトンの奇跡」から4年。今大会直前の9月の再戦では南アに7-41で敗れ、今回の対戦も下馬評では南アが上だ。

ただヘルは「(8強の)目標は達成した。当初は誰も進出できると思っていなかったけど、そこを見返した。実力を見せられた。南ア戦も勝てると思われていないかもしれないけど、底力をあらためて見せるチャンス」と、今回も好機と捉えている。

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