ラグビーに新風吹き込む日本

快進撃を続ける日本の強みは「ラグビーの常識を覆すプレー」だった。

【東京・10月18日】強豪を次々に倒し、8強入りした日本のプレーは「ラグビーとは何か」という定義を見直すきっかけになりそうだ。

華麗な足運び

日本の強さの秘訣は、タックルに来る相手の目前での足運びだ。100㌔のFWが75㌔のバックスと対峙する場合、通常ならFWが有利だろう。しかし目前で方向転換されたら、重いFWは対応が遅れる。その点では軽いバックスのほうが有利なのだ。

下の動画で松島幸太朗は、まずスコットランドのFW陣、グラント・ギルクリストとマグナス・ブラッドベリーに向かって真っすぐ進む。しかし彼らに当たる直前で方向を変えてかわし、目の前に開けたクリーンなピッチを駆け上がった。日本はこうした俊敏な動きによりゲインを重ねているのである。

しかも、足運びが見事なのはバックスだけではない。ナンバー8の姫野和樹の動きをご覧いただこう。

次の動画では、日本が次々にボールを回していく中で、後方の姫野は目の前に迫るギルクリストに捕らえられそうになる。しかし姫野は華麗なステップでギルクリストをかわし、結局日本は30㍍ほどゲインした。

ドアを開ける方法はたたき壊すだけではない。カギを使えば開けられる。日本は相手によってそれぞれのカギを見つけ、勝ち上がってきた。前回に続き、今回も南アフリカの「カギ」を見つけることができるだろうか。

右に左に展開

ラグビーでは一般的に、同じ方向にプレーし続けるのが得策と言われている。一方向に展開していけば、守る方はその方向について行かざるを得ず、人数が片側に偏ってしまう。そうなると、攻撃側が一気に逆に展開したときに守備が戻ってこられないため、数的優位に立てるわけだ。

一方、左右に展開するとディフェンダーを揺さぶれないため、守備の穴ができない。これがセオリーである。

しかし日本は、守備側がついてこられないほど、素早く右に左に展開する。スコットランドの守備陣は息つく暇もなく左右に振られ、強烈なタックルを見舞うことができない。

下の動画では、日本は決して同じ方向に展開しない。スコットランドにタックルの隙を与えれば負けると分かっているからだ。日本は常にボールを動かし、素早く動くことで実力を最大限、発揮している。

ラグビーはいかにして相手から逃げるかというスポーツだ。日本はまさにそれを体現している。イングランドや南アのようにボールキャリーが突出しているわけではないが、彼らには素早く巧みな攻撃がある。パワーで押してくるチームとの対戦に慣れている南アにとって、日本のプレーは脅威だろう。

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