快進撃支える2人の韋駄天

絶好調の松島、福岡は熱い思いを胸に南アフリカに挑む。

【東京・10月17日】4試合で奪ったトライは2人合わせて9本。チーム全体の13本のうち約7割を挙げている松島幸太朗と福岡堅樹は、日本のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが「フェラーリ」と賞賛する爆発的なスピードを遺憾なく発揮している。

2度目のワールドカップとなる松島は、ロシアとの開幕戦で試合前の宣言通り3トライを挙げてハットトリックを達成。ナーバスになっていたチームに狙い通りボーナスポイント付きの勝利をもたらすと、サモアとの第3戦でも80分のサイレンが鳴った後にチーム4つめのトライ。またもボーナスポイント付きの勝利に貢献し、スコットランドとの第4戦へ向かうチームに心理的な余裕を与えた。

ジンバブエ人の父と日本人の母を持つ南アフリカ生まれの26歳。6歳で日本へ移ったが、12歳の時に1年間南アフリカへ留学した際にラグビーに出会う。桐蔭学園高で2011年1月に全国高校ラグビー大会を制覇。卒業後に再度、南アフリカへ渡ってシャークスの育成組織で経験を積み、14年からは日本のトップリーグでサントリー・サンゴリアスに所属している。日本のシーズンオフにはスーパーラグビーにも挑戦し、15年にワラターズ、16年にレベルズとオーストラリアでも経験を積んだ。

エディー・ジョーンズの下で挑んだイングランドでの15年大会では、初戦で母国を破る大番狂わせの立役者の1人に。アメリカとの第4戦ではW杯初トライを決めた。ジェイミー・ジョセフの下でも主力の1人として今大会に臨んでいる。

アイルランドとの第2戦の前には「自分の実力が出せれば世界に認められると思う。個人スポーツではないのでチーム優先でやるが、ボールが回ってくれば自分の得意なフットワークとスピードで勝負してアピールしたい」と宣言。この試合こそ無得点だったが、残る3試合ではいずれもトライに成功。ここまで全試合にフル出場し、アピールに成功している。

ただ単純なスピードという点では「僕の中でのフェラーリは福岡堅樹」と謙虚な姿勢を示す。

福岡県生まれの27歳の福岡は、壮行試合となった9月6日の南アフリカ戦開始直後に右ふくらはぎを負傷。アイルランドとの第2戦でベンチ入りしたが、それもウィリアム・トゥポウが前日練習で負傷したためで、予定より早い実戦復帰となった。

それでも後半に途中出場すると、W杯初トライを決めチームの逆転勝ちに大きく貢献。サモア戦でも途中出場からトライを奪う活躍を見せた。

4年前は、10-45で敗れたスコットランド戦1試合のみの出場だった。このときは結果を残せなかったが、スコットランドサポーターの中には福岡の名前を覚えていた人がいたかもしれない。代表デビューを果たして半年ほど経った13年11月、エディンバラ・マレーフィールドで行われたテストマッチで福岡は2トライを挙げている(試合はスコットランドが42-17で勝利)。

日本ラグビーにとって過去にない大一番となった13日のスコットランド戦で、福岡は全く同じ快挙をやってのけた。巧みなオフロードで松島のトライをお膳立てすると、高く弾んだボールをうまく絡め取り勝ち越しトライ。後半2分には相手CTBクリス・ハリスからボールを奪い、敵陣を独走して勝利を決定づけるチーム4つめのトライを挙げた。

トップリーグのパナソニックワイルドナイツでプレーする福岡。松島からのフェラーリのコメントを聞いた際は「燃費が悪いというのも一つあって」と笑いを誘ったが、フル出場も問題なくこなし万全の状態だ。

2016年にはリオデジャネイロ五輪で7人制ラグビーの代表として4位入賞に貢献。来年の東京五輪を最後に現役を退き、祖父、父と同じように医療の道へ進むことを公言している。スコットランド戦後は「日本のラグビーの新しい歴史をつくれて最高。本当にこの時のために、全ての時間を犠牲にして頑張ってきた」と感慨に浸った。

自らが生まれた国と再度戦う機会を得た松島と、最後になるであろうW杯で輝きを放ち続ける福岡。日本ラグビー史上初の舞台をこれ以上ないモチベーションで迎える。

RNS mn/hn