準決勝での「南北対決」は20年ぶり

【東京・10月23日】ラグビーワールドカップの歴史は北半球と南半球のチームのライバル対決によって彩られてきた。そして今週末、スリリングなゲームが予想される2019年大会準決勝で新たな1ページが加わる。
イングランド-ニュージーランド、ウェールズ-南アフリカという4強の組み合わせは、準決勝では20年ぶりとなる「南北対決」。1999年大会でフランスが大方の予想を覆し43-31で勝利したゲーム以来となる。W杯準決勝での通算成績は南半球の3勝2敗となっている。
北半球勢ではイングランドがこれまで唯一のワールドカップ優勝国。大会の歴史を振り返ると南半球のチームが優勢だが、2015年の前回大会以降、チーム力は縮まってきている感がある。
2015年までの3年間、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド、フランスが「ラグビー・チャンピオンシップ」に参戦する南半球の強豪4カ国を相手に行ったテストマッチ計66試合中、勝利したのは20試合。そのうち、アルゼンチン戦を除くと52試合でわずか9勝だった。
しかし、過去3年間で顕著な変化が生じてきた。突如としてこれら北半球5カ国の勢いが増し、テストマッチ65試合中37勝をマークして勝率は57パーセントに跳ね上がった。アルゼンチン戦を除いても、50試合で23勝という数字は称賛に価する。
中でも、イングランドとウェールズの“変貌”ぶりが目を引く。両チームは、2016年1月から2019年9月までの間にオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカと計23回対戦し14勝を挙げた。
こうした「格差縮小」は今週末の準決勝2試合をとりわけ興味深いものにしている。果たしてイングランドとウェールズがニュージーランド、南アフリカに対してここ数年の戦績が示している通りの戦いぶりを見せることができるだろうか…。
ニュージーランドと南アフリカにとって有利な点は多湿な日本の気候だろう。南半球の選手は4つの異なる大陸でスーパーラグビーのゲームを戦うため、欧州のプレーヤーと比較すると、不慣れな気候の中でのゲームに順応しやすいと言えよう。

今大会でのこれまでの南北対決から、ウェールズ-オーストラリア、フランス-アルゼンチン、イングランド-アルゼンチン、イングランド-オーストラリア、アイルランド-ニュージーランドの5試合を見てみると、スコアリングに一つのパターンが浮かび上がる。
この5試合で北半球のチームが前半に奪ったトライは、イングランドのジョニー・メイ(上の写真)がオーストラリアとのゲームで挙げたトライを含め9本。対する南半球は4本。しかし後半は南半球勢が巻き返し、ニュージーランドのジョーディー・バレット(メインの写真)がアイルランド戦で決めたトライを含む10本のトライをマークしているのに対して北半球勢は7本にとどまっている。
ワールドカップ史上初となる北半球同士の決勝戦が実現するためには、イングランドとウェールズはスタートダッシュを決め、早い段階でリードを築き、ニュージーランドと南アフリカの反撃を断つ、という展開に持ち込むことが必要かもしれない。
ワールドカップ準決勝での南北対決
1987:ニュージーランド 49-6 ウェールズ
1991:オーストラリア 24-30 フランス
1995:南アフリカ 19-15 フランス
1995:ニュージーランド 45-29 イングランド
1999:ニュージーランド 31-43 フランス
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