「ここが私の居場所」南ア・トレーナーの祈り

スプリングボクスの信頼を集める女性トレーナーが「3度目の正直」を目指しW杯に臨んでいる。

【東京・10月25日】南アフリカチームには今大会が3度目のワールドカップとなるスタッフがいる。トレーナーのルネ・ナイローだ。

2008年、夢にも思わなかった“代表入り”を果たした彼女は今、W杯の優勝カップが視野に入るところまで来ている。

ここまでの道のりは平たんではなかった。さかのぼること約20年前、地元のケープタウンで、下部リーグのクラブ『シルバーツリー』に加わったのがトレーナーとしての最初の仕事。その後、格上の『ウェスタン・プロヴィンス』に入ったが、代表のトレーナーになるなどということは全く念頭になかったという。

「そんなことは考えもしなかった。スプリングボクスが女性トレーナーを使うとは思えなかったし」とナイロー。

スーパーラグビーにも参戦している『ストーマーズ』で職を得た時、「ここがキャリアのピークだと思った」と振り返る。しかしついに2008年、スプリングボクスに加入することになった。

ピーター・デヴィリアス監督やヘインク・マイヤー監督の下で働き、2015年W杯後に一度、チームを離れている。

理由は「私生活、特に母親業に専念したかったから」。当時、彼女には2歳の息子がいた。

「あの2年は私にとっていい期間だった。頭の中がクリアになって、トレーナーとしてスプリングボクスのどこに修正を加えたいがはっきり見えてきた。一つの職場に長くいるとよくないこともある。その状況に満足してしまうから」

今や選手たちが全幅の信頼を寄せる存在。2019年のW杯では、満足のいく休息など取れない。「よく同僚と『私たちセブンイレブンよね』って話すの。トレーナーの仕事は朝7時から夜11時までだから。W杯ではもっと“オープン”してる」

「自分自身もトレーニングする。朝6時からランニングをしたりジムに行ったり」。その後トレーナーとしての仕事が始まり、休憩できるのは選手たちが技術面でのミーティングを開く間の45分か1時間くらい。夕食後にもトレーナー室に詰めて、選手たちのトレーニングのサポートや体調の回復に努める。

今、ウェールズ戦を前にして、スプリングボクスの選手は「落ち着いて集中している」という。南ア代表は、ナイローが加入した後、2011年には準々決勝で、2015年には準決勝で敗退。次が3度目の正直になればと期待している。

「スプリングボクスは国のシンボル的な存在。その一員であるというのは特別なこと」とナイロー。「2年間チームを離れた時、この仕事を引退しようかとも考えたけれど、やはり復帰した。去年は『これでよかったのか?』と思いもした。でも今、よかったと思ってる。ここが自分の居場所だと心から思えるから」

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