女子15人制日本代表、高みを目指してRWC2021アジア予選突破へ

ラグビーワールドカップ2021ニュージーランド大会の試合日程が発表されたが、女子15人制日本代表はニュージーランド大会優勝という高みを目指して、3月のアジア最終予選突破へ合宿でプレーを磨いている。

 ラグビーワールドカップ2021ニュージーランド大会の日程が発表された頃、15人制女子日本代表は和歌山県内で今年2度目の合宿を行っていた。

招集された代表候補選手はFW21人にBK14人の35人。ニュージーランドでの本大会出場を目指して、日本はまず3月5~13日に香港で行われる予定のアジア最終予選で、香港(3月5日)とカザフスタン(3月9日)に勝たなければならない。

日本は、この3チームでトップに立てばニュージーランド大会出場を手にし、9月の本大会では18日にカナダ、23日に欧州予選1位チーム、28日にアメリカと対戦することになる。

だが2位になった場合は他大陸予選の敗者が一堂に会する敗者復活戦へまわり、最後の1枠を懸けて戦い、香港で敗れれば4年後を目指すしかない。

 当初は昨年3月に行われるはずだったアジア最終予選だが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて結局1年延期となった。日本代表の当面の目標は最終予選の突破だが、半年後には本大会を迎えるハードなスケジュールだ。

 小林花奈子選手(日本体育大学ラグビー部女子)は、「ワールドカップで優勝することを目標にしている」と話す。

選手間での話し合いで、「ベスト8を目指すのではなく、優勝を目指すことで良い結果を出せる」という発想から生まれたもので、2019年1月のレスリー・マッケンジー体制始動の直後から目標として掲げているという。

 前回2017年女子ラグビーワールドカップ・アイルランド大会で、日本はプール戦でフランス(14-72)、アイルランド(14-24)、オーストラリア(15-29)は3連敗し、9~12位順位決定戦ではイタリアに0-22で敗れ、最後の香港戦に勝って12チーム中11位で終了した。

その後、約2年の活動休止を経て、女子日本代表は元カナダ代表FWのマッケンジー新ヘッドコーチの下で始動すると、ハードワークを重ねて、2019年秋の欧州遠征ではイタリアと引き分け(17-17)、スコットランドにアウェイで勝利(24-20)した。

 今回の合宿は、現体制発足の2年前に初合宿を行った和歌山で開催。小林選手は「チームとしての形ができてきていると思う。イタリア戦、スコットランド戦でも良い結果を残せたし、細かいディテールも詰めてきて、(世界へ)近づいてきていると思う」と手ごたえを口にした。

小林選手自身もイタリア戦では12番をつけて代表デビューを果たし、「自分の強みのアタックは必ず出そうとした。相手DFの切れ目に走り込むプレーは通用したと思う」と振り返った。

 今春、日本体育大学を卒業予定の22歳は、2019年ラグビーワールドカップで日本の8強入りに貢献した男子日本代表のCTB中村亮土選手(サントリー)を目標に、「自分ではトライをしなくても、必ず味方をアシストする選手になりたい」と話している。

小鍛治選手、天理大のプレーから学ぶ

 一方、小鍛治歩選手(花園ホーリーホックス)は、「まだアジア予選がある。そこへ向けて今できることをしている」と、着実に前進することを目指している。

 昨年11月に20歳なった小鍛治選手は、高校3年だった2019年2月にマッケンジー体制で2度目の合宿に参加。そこで、スタンドオフからフッカーへの転向を指揮官から勧められた。

提案に驚きつつも「チャレンジしてみよう」と新たなポジションに意欲的に取り組むと、5か月後の7月に行ったオーストラリア遠征第2戦で、17番をつけて代表デビューを遂げる。さらにその後、秋の欧州遠征でイタリア、スコットランドとの2つのテストマッチでも途中出場で、日本の引き分けと勝利に貢献した。

 「周りの人を活かすのが得意」という以前からの自分の良さを伸ばしながら、相手に当たってボールを運ぶというフッカーとしての役割が加わり、プレーの幅が広がったと感じている。

 ラグビーは兄の影響を受けて4歳で始めたが、高校までは7人制が中心で15人制をプレーする機会はほとんどなかった。それが今では「体を当てるのが楽しい」と15人制を好む。

 その兄は、天理大学でプロップを務める4年生の悠太選手。先日の全国大学選手権優勝メンバーだ。兄妹でラグビーの話はあまりしないそうだが、小鍛治選手は天理大の試合に頻繁に足を運んで、スクラムやフッカーの動きを参考にしていると明かす。

「天理大(の選手)も低くて小さい」と身長160センチの歩選手。「低くて小さい人が大きい人を相手にどうやって勝つか。日本人が世界と戦う状況に似ている」とサクラフィフティーンのフッカーは指摘し、「低さで勝負するところは同じ感じだと思う」と共通点を見出している。

小鍛治選手は「ワールドカップで勝ち抜くのが目標」として、男子日本代表の活躍で盛り上がった2019年日本大会を念頭に、今年9月のニュージーランド大会では女子日本代表が活躍することで「ラグビー人気を上げていきたい」と語る。

 そして、「アジア予選で1位になってラグビーワールドカップに出場するために、自分とチームのプレーをレベルアップして臨みたい」と意気込みを見せた。

 チームは2月にも合宿を行い、3月の予選へ準備を重ねる予定だ。