ニュージーランド代表マッケンジー選手、日本経由でRWC2023へ

東京サントリーサンゴリアスに加入したニュージーランド代表FB/SOダミアン・マッケンジー選手は、年明け早々に新たに始まるリーグワンでチームの初代王座獲得を目標に自身のプレーに磨きをかけ、2023年ラグビーワールドカップの代表スコッド入りを目指している。

 来年1月7日のリーグワン開幕を前に各チームが補強に力を注いで戦力の充実を図ってきたが、東京サントリーサンゴリアスも例外ではない。リーグワン前身のトップリーグ最終シーズンとなった昨季、オールブラックスSOボーデン・バレット選手を擁して日本のファンを沸かせたチームは、新シーズンへ向けてオールブラックスの主力の一人、FB/SOダミアン・マッケンジー選手を獲得。新装開店となったリーグワンの戦いに臨む。

 インバーカーギル出身の26歳は、2016年に21歳で代表デビュー。177センチと小柄な体格ながら、先月11月の欧州遠征フランス戦出場まで積み重ねてきた代表キャップ数は40を数える。シャープな走りと優れたキック力を武器に、代表チームやスーパーラグビーのチーフスでFBフルバックを中心にSOスタンドオフで活躍してきている。

日本食を好み、チーフスや代表戦での来日経験から日本の人の温かさなど好印象を抱いていたというマッケンジー選手は、入団会見での第一声も「コンニチワ。ワタシハ、ダミアン・マッケンジーデス」と日本語で披露して笑顔を見せた。

昨季のボーデン・バレット選手のサンゴリアスでのプレー映像も見ていたそうで、「早い展開の日本のラグビーは自分に合うと確信していた。日本でのプレーは時間の問題だった」と言う。

日本行きについて相談したバレット選手からは「日本行きを勧めてくれた。ポジティブな話ばかりで、楽に決めることができた」という。それが、マッケンジー選手の2023年ワールドカップを見据えた思いを後押ししてくれた。

マッケンジー選手は、2019年ワールドカップ日本大会への出場も期待されていたが、大会前に負った右膝の負傷で願いは叶わなかった。それだけに、2年後に迫る次のフランス大会への思いは強く、リーグワンでのプレーをワールドカップ代表スコッド入りにつなげたいと考えている。

 「自分にとってはプレーを伸ばすいいチャンスだ」とマッケンジー選手は言う。

「日本のラグビーはスーパーラグビーとはフィジカルの部分で異なるし、クイックさが求められている。より速い展開のラグビーにいかにフィットしてプレーするかにフォーカスして1シーズンプレーしたい。そして、ここで学んだことをニュージーランドに持ち帰って2023年大会のスコッドに入れるように成長したい。自分のスタイルに合っていると思うので、このリーグで強みを発揮できれば、それがワールドカップにつながると思っている」

 さらに、こう話した。

「2019年大会を逃した思いは強いので、自分のラグビーを伸ばしてニュージーランドに戻りたい。ポジション争いが非常に厳しいことは分かっているが、日本で学べることは学んで、代表のセレクションにしっかり入って行けるようにしたい」

 高い目標を掲げるマッケンジー選手が、サンゴリアスにとってフィールド上の戦力として力強い存在であることは間違いないが、そのプレーで見る人を魅了して新たなファンを取り込む点でも期待されている。

 サンゴリアスの田中澄憲GMは、「世界のトッププレーヤーがいる日本人選手も入団して、競争して相乗効果がある。競技レベルもそうだが、日本のファンが本当に見に来たいと思うことが大事」と話し、マッケンジー選手の加入で「我々のアグレッシブなアタッキングラグビーの進化がさらに期待される」と語る。

 さらに、身長177センチというラグビー選手としては小柄な方に入るマッケンジー選手のプレーは、海外主要国の選手に比べて小柄な日本人選手に参考になると指摘する。

 「世界のラグビー選手は大型化しているが、ダミアンは大きくないが世界のトップで活躍している。日本でラグビーをやっている少年少女たちがそういう選手を間近でみることができる」と話す。

 マッケンジー選手は「自分は大柄ではないので、御激しい接点の部分やフィジカルコンタクトをできるだけ避けなければならない。いろいろなチャレンジがある。日本の速い展開のラグビーでも、ステップを使うなど自分のスタイルを築くことができると思う」と語る。

 今季のチームにはCTB中村亮土選手、SH流大選手、NO8テビタ・タタフ選手ら日本代表選手も多く、オーストラリア代表のFL/NO8ショーン・マクマーン選手とCTBサム・ケレビ選手、今季クルセイダーズから加わったニュージーランドU-20代表経験のあるFL/NO8トム・サンダース選手らを擁している。

 シーズン初戦は1月8日、東京味の素スタジアムで迎える東芝ブレイブルーパス東京との府中ダービーだ。昨季はトップリーグで準優勝に終わり、タイトルにはあと一歩及ばなかった。

マッケンジー選手は言う。「目標はリーグワンでの優勝。しっかり達成したい」