選手、コーチ、そして解説者。ワールドカップに関して、レスリー・マッケンジーほど多様な立場を経験してきた人物はいません。カナダ代表としてプレーし、現在は日本代表のヘッドコーチを務める彼女が、大会史上最大の試合を前に、母国がいかにしてイングランドの牙城を崩すことができるかを明かしました。
「カナダは立ち上がりから本当に速く入らなければいけません。そしてテンポを維持する必要があります。ボールを常に動かし、できる限り試合をアンストラクチャーにして、カオスのように感じさせることが大事です」とマッケンジーは語りました。
日本代表を率い、プールCでスペインに劇的勝利を収め、ニュージーランドやアイルランド相手にも善戦したマッケンジーは、BBCの解説者として大会を見守ってきました。そして準決勝での戦いを経て、Sophie de Goedeらが前人未踏の快挙を成し遂げられると確信しています。
「イングランドに合う試合を構築するとすれば、それはテンポを落とし、パワーと構造で組み立てることです。けれどもカナダがそのコントロールをイングランドの手から奪うことができれば、勝機はあります。彼女たちはエネルギッシュで非常にフィットしています。だからこそ、そのスタイルを貫くことが可能なのです」とマッケンジーは断言しました。
早すぎるピークのリスク
一度ピークに達することすら困難でありながら、ピークを2度続けて出す難しさについてRWC2006、2010を経験したマッケンジーは懸念しています。
「それはリスクであり危険です。あの準決勝の勝利はあまりにも感情的で、多くの選手にとって夢の実現でした。だからこそ、それが少し早すぎるピークを迎えてしまう恐れがあります。一方で、イングランドはまだ本当の意味でギアを上げていないように見えます」と、2006年と2010年にカナダ代表としてワールドカップに出場した彼女は指摘しました。
カナダが勝つためのキープレーヤー
「Sophie de Goedeは間違いなく素晴らしいパフォーマンスを見せるでしょう」とマッケンジーは語り、さらに続けました。
「特にフロントローがこの試練にどう立ち向かうかが決定的です。カナダの先発フロントローは長時間試合に出続けますが、イングランドはハーフタイムでほぼ総入れ替えします。両チームとも非常に強力で、ここが大きなチャレンジになるでしょう。
また、スクラムハーフのJustine Pelletierは正確性を維持し、的確な判断を続け、テンポを高く保てるかどうか。さらにキャプテンでインサイドセンターのAlex Tessierがどのように試合をマネジメントし、エリアをコントロールできるかも重要です。彼女は前週の試合で効果的なキックスペースを見つけましたが、キックの安定性には波があります。だからこそ今回は素晴らしい出来が求められます。Caroline Crossley(ブラインドサイドフランカー)も大きな影響を与える可能性があります。」
スター性で勝負
マッケンジーがカナダに優位性を感じているのはバックスリーです。
「Asia Hogan-Rochester、Julia Schell、Alysha Corriganは、ボールを持っていてもいなくても非常にアグレッシブです。
エッジを突くプレーはイングランドにとって脅威となるでしょう。Abby Dowが試合に大きな影響を与える場面はまだ見られていませんし、イングランドのバックスリーはハードな展開をあまり好まない印象があります。そこをカナダは徹底的に突いていくはずです。」
大会に「10点満点中10点」と太鼓判を押すマッケンジーですが、決勝の勝敗については最後まで言葉を濁しました。
「スコア差は1トライ以内、20点台後半で決まると思います。例えば29-27。ただし、どちらが勝つかは絶対に言いません」と笑顔で答えました。